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「くそ! 何様のつもりだあいつは!」
「いくらなんでもあんな言い方無いじゃない!」
誠二と朱実は共にギャーギャー騒ぎつつ、重力制御ブーツを履いている。
香もやや張り詰めた表情で手甲や肘当て、膝当てを装着していた。やはり不機嫌なのだろうか。
「おい、一枝さんに一泡吹かせないか?」
ドアの背もたれによりかかる勇樹の一言に、
「うるさい! 一番弱い奴が何を言う!」
ストレスをそのまま吐き出した。
だが勇樹は両肩を竦め、
「それは否定しねえよ。俺は今の所、この四人の中で一番弱い。けどな」
お前一人で、一枝さんに勝てるか?
どうしようもない事実を突きつけた。
誠二は無言で勇樹を睨む。
「しかたねえんだよ。一枝さんは五年も『インヴィテイション』やってんだ。サシで、スクールにまだ入学して二ヵ月程度しか経たない俺達が勝てる道理は、そもそも無いんだよ」
「……なによ、勝負を諦めるっていうの?」
模擬戦用の『グリンガム』片手に非難がましい朱実の言葉。それに勇樹は吐息を一つつく。
「サシで、って俺は言ったんだぜ? 俺達は何人いるんだよ?」
「……作戦でもあるんですか?」
それまで黙ってダメージ判定用の赤いジャケットを着込んでいた香の問いかけに、
「ピンチの時こそ、チャンスありって昔から言うだろう? 一口乗るかい?」
勇樹は浮力調整マントを手に片目を瞑ってそう言った。
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