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「え?」
何が起こったのか、一枝にはわからなかった。
銃弾は、撃たれた二つの軌道から推測しても、かわせたはず。
しかし、彼女の顔には赤いインク。
だが、少なくとも、当ってはいないはず。顔面に当っていたら、コンピュータが彼女の負けを宣告する。実戦なら即死だからだ。
矛盾極まりない結果に混乱する一枝に対し、香が接近。鋭い踏み込みと共に拳を繰り出す。
手甲の一撃は、混乱しつつも現実に戻ってきた一枝の短刀に受け止められていた。赤い液体に濡れた顔から、眼が薄っすらと開けられる。同時に、ダメージ判定ジャケットから、鉛を乗せたような重い感覚が香に与えられた。
「キャアァ!」
〔bQ、白名香、速やかに退場なさい〕
香の真横には、中和弾を放った『R2』。
薄っすらと開けられた一枝の瞳には、無謀にも真っ正面から銃撃を仕掛けながら突撃してくる勇樹を映し出していた。
『R2』を手元に呼び寄せるには時間がかかるため、その銃弾を一枝は短剣で撃ち落していく。
それでも勇樹はこちらに迫ってくる。
迎え撃つべく目を凝らす一枝だが。
勇樹の姿が、消えた。
一瞬、何が起こったのかわからない。
そして、床に影が落ちている事に気付く。
勇樹はあの一瞬で重力制御ブーツを利用し、上方へと跳躍していた。視覚が限定されている一枝の死角を突こうとしたのだ。
(ピンチの時こそ、最大のチャンスあり、だ!)
完全な奇襲。
空中で反転しつつ、両手に構えた銃の引き金を絞る。
「もらったぁ!」
勇樹が吼えると共に一枝は朱実が先程までいた地点に走り出していた。その上には『R2』。彼女も、『R2』からヘッドギアを経由し、脳内に送られた情報により、勇樹の奇襲を把握していたのだ。
二つの銃口から計六発の銃弾を速射され、一枝に襲い掛かる。
しかし、
「ちっ!」
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