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それらは全て、空中で赤いインクをばらまくだけだった。一瞬早く、一枝は『R2』の結界範囲内に辿り着いていたのだ。
そして、勇樹が床に着地すると、残る二つの『R2』が左右に展開されているのを彼は視認した。
ジャケットを通して、重い感覚が全身を支配する。
〔bS、八神勇樹、戦闘不能〕
「……!」
声を聞いた瞬間、勇樹が悔しげに床を殴り付けた。
「えーと、これで今日の授業は終わります」
タオルでインクを拭いた一枝は、四人には白々しいとしか思えない笑みを作っていた。
「あの……勇樹の弾丸、一枝さんに当ったんじゃないですか?」
右手に持つ一枝のタオルを指差し、不服そうに朱実が指摘する。
「だって、ペイント弾って、物に当らないとインクは出ないんでしょう? なら」
一枝は、自分でもわからないその矛盾をどう説明すべきか思考し、
「……当ってねえよ」
ぶっきらぼうに、勇樹がそう言った。
「え?」
「当ってねえって言ったら、当ってねえんだよ!」
苛立つように舌を打つ。勇樹がそう言うのならと、朱実もそれ以上の追求を止めた。
「……栗山さんは、大丈夫でしょうか?」
「……」
香の問いに、一枝は溜息をつき、無言で肩を落とす。
この場に、誠二はいない。
あの後、誠二は一人退室していった。四人がかりでやられた。しかも、誠二自身は真っ先に、秒殺であしらわれてしまったのだ。
プライドはズタズタだろう。
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